古見 匙下電器産業の古見です。 あの…プロジェクトの件で相談できると言われて、こちらに伺いました。 財賀 話は聞いている。 損害を出した上に補填もできないということだな、若造。 古見 …あ、はい。 通されたのは財賀グループ会長室、現れたのは会長の財賀尽三とその秘書だった。 財賀 ならばしょうがない。 早急に金を作ってもらおう。 古見 ?? 財賀 わからんか。 金を作るための”手段”を用意してやると言っているんだ。 半年の間に損害を埋めるためには、当然普通のやり方では無理だ。 かといって、プロジェクトを失敗したばかりの男に仕事を任せるわけにはいかん。 財賀 …つまりギャンブルだ。 首尾よく用意できたなら、元の待遇で職場に復帰させてやろう。 古見 それは、具体的にはなにをすれば…? それに、今の私には元手にするものが何もありません。 財賀 海外に飛び、各地の鉄火場でゲームをしてもらう。 半年の間に損学を補填できる金額を手に入れることが貴様のミッションだ。 賭けるのは貴様の未来の時間だ。負けた場合は借金として請け負ってもらう。 古見 …それ以外の方法はないのでしょうか? 財賀 信濃、どうだ。 信濃 はい、会長。 信濃 今ですと、 ***の運び屋、働き次第ですが早ければ20年。 あとはベタですがインド洋の遠洋漁業、34年。 △△国の軍事用薬物の被検体…これは無期限で帰還の可能性はほとんどありません。 どれも、まともな人生とはかけ離れてしまう仕事ばかりだ。 どうやうら選択肢はないらしい。 古見 あ、あの、ギャンブルでお願いします。 賭け事は学生時代に色々と手を出した。 麻雀では友人たちの間では強い方でもあったので、少し自信がある。 財賀 決まりだ、エマを呼べ!