ハクトウ「皆さん、お集まりいただきありがとうございます!
この船旅は、この国の復興において重要な意味を持つイベントです。」
ホール中央の台に立った男が話し始めた。この船旅の主催者であるザイハラ家の当主ハクトウだ。
背は高くないがでっぷりと太っているので、手に持ったマイクが小さく見えて少し可笑しかった。
ハクトウ「このコルチカム号は、欧米の最新造船技術を取り入れて作られた、国内最大級のクルーズ船です。
今回のツアーは試験的なものですが、安全性、快適さなど綿密なテストを経てこれから実施される高級クルーズツアーと同じ品質を保証致します。
皆さまの中には、とてもこのような豪華な旅行には手が出ないという方もいるかも知れませんが、ご安心ください。
ハヒッ ハヒィッ」
冗談を言ったつもりかもしれないが、余り愉快に感じない客が多そうだ。
ハクトウ「旅費や船内の飲食・サービスの一切は無償で提供致します。
皆さまには、船を降りる際にアンケートにお答えいただくだけ!
ぜひゆっくりと船旅をお楽しみください。」