カナンは影が消えていった方に向かって恐る恐る通路を進んで行った。
かすかに足音が聞こえるので、少なくとも気のせいではなかったようだ。
足音は客室のエリアを出たところで曲がり、乗組員たちが行き来していた、乗客は立ち入らない部屋がある方へ向かっている。
音が消えた。
カナンは息を殺して足音のしていた方へ歩いていくと、大きなロッカーがたくさんある部屋に出た。
ロッカーのサイズからして、更衣室ではないようだ。カナンは少し躊躇ったが、部屋の奥に入っていった。
カナン「(誰もいない…)」
一番奥まで歩いて振り返ろうとしたその時
首筋に鋭い痛みが走った!
驚いて振り向くと、異様な風体の小さな男が下から覗き込んでいる。
カナン「……!」
普段は気丈なカナンだが、恐怖で身体が動かない。
なんとか逃げなければ、せめて声を上げるだけでも…。
思考を巡らそうとしたが、急に意識が朦朧となりその場にへたり込んでしまった。
??「キャハッキャッキャッ!
これで2人目だ…。お船は嫌いだが、乗ってよかったよ」