ワシリの部屋

カナン「ワシリさん、何か手がかりはないでしょうか…」

ワシリ「…んん。悪いけど、何も思い当たることはないな。
シーナさんは心配だけど、今は自分の実を守ることを優先した方がいいんじゃないかな。」

その後しばらく話しても、良い案は出なかった。船員に頼んで捜索してもらおうにも、コリーネの件で意見が分かれているのでは、見込みが薄いだろう。

カナン「じゃあ、調べられるところだけでも…」

そう言って立ち上がろうとした瞬間、カナンは急に目眩がしてガクッと力が抜けるのを感じた。

ワシリ「大丈夫ですか?」

カナン「す、すいません…。ちょっと目眩が。
なんだか、眠いかもです…。」

ワシリ「そうですか、少し休んだ方がいいのでは。」

隣を見ると、ムートが机に突っ伏している。

ワシリはスッと立ち上がると、壁際に歩いて電話の受話器を取った。

ワシリ「もしもし、僕だ。すぐに来てくれ。」

カナンは朦朧としながら、なんとか意識を保とうと首を振った。

と、入口のドアが開いてスーツの男が2人入ってきた。

手にはロープを持っている。

2人は手を背に回した格好で手首と足首を縛り付けられた。体が言うことを聞かず、抵抗できない。あの紅茶に何か入っていたのだろうか。

そのまま意識を失ってしまった。