今は逃げるのが優先だ。

そう思った矢先、直ぐ側のドアが開いてさっきカナンたちを縛り付けたスーツの男の一人が出てきた。

男「お前たち!どうやって!?」

次の瞬間、ムートが男に向かって掴みかかった!

ムート「逃げろ!2人で走っても階段で追いつかれる!」

カナン「で、でも!?」

ムート「いいから早く!」

カナンは階段に向かって走り、1階層に出た。

すぐにインフォメーションへ行き、特別フロアでのことを伝えてムートの救出を頼んだが、すぐに動ける者がおらず後で状況を確認してからの一点張りだった。

船員「あのフロアには一般乗客は立入禁止だ。くれぐれもルールは守ってくれ。」

とはいえ、自分が戻って探したらムートが逃がしてくれた意味がなくなる。

とりあえずデッキに出てみると、緑の生い茂った島が目の前にあった。

デッキには島を見るためにたくさんの人が出てきていた。

カナン「偶然じゃない…。
はじめからこの島に流れ着くことになっていたんだわ。」

見回すと、コリーネの人たちもデッキに出て島を眺めていた。さっきまでの騒ぎは収まったのだろうか…。

カナンは近くにいた船員に尋ねることにした。

シラート「先ほどの騒ぎをご存知ないのですね。
コリーネ部落の人を捕まえようと扇動していた若者数名が、1階層に現れた怪物に殺害されてしまったんです。
捕まっていた人たちも開放されました。 それに、突然この島が現れたことで今は争いが収まっている状態です。」

特別フロアに居た間に、いろいろなことが起きているようだ。

シラート「怪物は捕獲されましたが、乗客には不安が広まっています。
あの船に上陸するという者も出てきていますが…。」

やはり船員側の対応は足並みを揃えられていないようだ。

「どうせ今夜か明日には船ごと制圧する。」

ワシリの言葉は、船に残っていたらあの組織の者がやってくることを示している。

カナンは島に渡る者たちの一団に加わることにした。