カナン「ユヌンさん、ごめんなさい。
私たちは小舟を奪いに行きます。成功したらそのまま帰って、必ず救助を呼んできます。」

陸に帰って救助を呼ぶことができなければ、1人も助からないのだ。

それに、おそらくカナン自身が助かる可能性が一番高い。このまま連れ去らわれたらもう家族に会えなくなってしまう。

ユヌン「そうか。」

カナン「船の人たちは連れて行かれちゃうけど、ユヌンさんはこの島にいて待っててください。
まずこの島に人がいるって言って助けてもらいますから。」

シラート「僕も…がんばって逃げます。」

ユヌン「…そうか。わかった。」

カナンとシラートは、組織の男たちの船が泊めてあるという西側の海岸へ向かった。

日が傾いてきているので、西がどちらかはすぐに分かる。時間をかけたくないので、迂回せずに島の中央を突っ切ることにした。

シラートが言うに、船を手に入れられれば帰還できる可能性は高いらしい。

元の航行ルートから考えて太平洋から出てはいないはずなので、船で西北西に進めば陸が見えるはず、ということだった。

カナン「平らなところは少し走りましょう。」

そうシラートに声をかけて、できるだけ小走りで進んだ。

走り出してから、低めとはいえヒールを履いてきてしまった自分を恨んだがそんなことは言っていられない。

というよりも、シラートの方がペースが遅いので合わせるしかなかった。

カナン「大丈夫?」

シラート「はぁ…はぁ…。
すいません、大丈夫です。
⋯ぜぇ。」

カナン「…!
あ、あなた喘息持ちだって言ってたわよね?
ごめんなさい、大丈夫じゃないでしょ!」

シラート「いえ、急がないといけませんから…。」