デッキを歩いて船の反対側まで来た。
だいたいディノゾーラの話か、トーテルの学校と親への愚痴だった。
トーテル「あいつらは精神年齢が低すぎて相手してられないよ。
僕が裕福だからって妬んでくるか、おもちゃをもらおうとすり寄ってくるバカばっかりだ。」
レンはほとんど喋らない分、トーテル話を聞いているだけでいいので楽だった。
風が気持よければそれでいい。
トーテル「しかし、うちの母さんは心が狭い。
気にしないでさ、また俺のコレクション見に来いよ。」
レンは一部の国民からは自分たちが嫌われていることを少し話した。
もともとは戦争中に捕虜として連れてこられた敵国の人間だったのだが、祖国が賠償金の要求を拒否したためにこの国に取り残されたらしい。
法律的にも帰化していないため差別的な目で見る者も多く、一部の地域や宗教では非人道的な扱いが正当化されている。
レン「…僕は中学から一般国民と混ざった受け入れOKの学校だけど、学校に行かない人も多いよ。」
トーテル「ふうん。
まあ、あんまり興味ないかな。」
トーテルは自分勝手なやつだった。きっと学校でも嫌われているんじゃないだろうか。
でもレンにとってはそれこそ興味がなかった。楽だから別にいいのだ。
そうこうしているうちに遅くなってきたので、明日また遊ぶ約束をして部屋に戻ることにした。