レン「…な、何も伝えずにすっぽかすわけには行かないよ。
すぐ戻って来るから!」
トーテル「おう、レン!」
あの母親に合わないかドキドキしながら、トーテルの部屋に入った。
さすがツアーの主催者だけあって、全員に個室が用意されているのは羨ましい。
トーテル「なんだか船内が物騒だからって、父さんがいろいろくれたんだ。
これなんかカッコいいだろ。」
トーテルはメリケンサックを手にはめて、パンチを打つ真似をしている。
見ると、護身用の商品がたくさん、乱雑に広げられていた。
どれも女性用らしく、小型のナイフ、スタンガン、警棒、ボタンを押すと音が鳴る(たぶん痴漢用)の機械まである…。
レン「…まあ、持っていて損はないんじゃないかな。」
トーテル「こんなに持てないから、オススメのやつを教えてくれよ。
お前もほしいのあったら持っていってもいいぜ。」
その時、ドアが開いてトーテルの母が部屋に入ってきた。
トーテルの母「トーテル、帰ってきたわ…」
と、母親が部屋に入ってきたその時、突然足元がが大きく揺れた!
トーテルと母親はバランスを崩してしゃがみ込んでいる。
少しすると使用人が走り込んできた。
使用人「大変です!船の後方で原因不明の爆発が!」
使用人「今のところ、沈没などの自体になることはありませんが、一部で火災が発生している模様で、乗客にも手を借りて消火活動を行っています。
この区画に火が回ることはありませんので、ご安心ください。」
まさか爆発事故とは…。この大きな船があんなに揺れたんだ。
大変な自体なのかもしれない。おじさんたちは大丈夫だろうか。
トーテルの母「大変な自体だわ。ふてぶてしく居座らないで外部の者は帰って…」
トーテル「そうだ、父さんも帰ってきてるんだ。
さっきもらった道具の使い方を聞きたいから、父さんの部屋に行こう!」
トーテルは母親の言葉を遮り、レンの手を引いて部屋を出た。
トーテルの母は真っ青になって叫んだ。
トーテルの母「トーテル!今お父さんの部屋に行っちゃだめ!!」
当の息子はそんな声を聞くわけもなく、父の個室のドアをバンッと開けた。
なんと、顔に布を巻き付けた男がハクトウに馬乗りになっている。右手にはアーミーナイフを持っていた。
ハクトウを襲っていた男は立ち上がると、逃走するためにレンたちのいる入口に向かって走ってきた。