ホールは騒然としていた。
なんと、朝に目撃されたと噂があった、ヒトガタの化け物が暴れまわっていた。
男数人係でも取り押さえる事ができず、周囲を取り囲んで牽制しているが膠着しているようだった。
船員の何人かは銃を向けているが、一人の男が銃の前に立ちはだかって発砲を阻止している。
レンはシェーンを見つけて走り寄った。
シェーン「レン!無事だったか!」
レンはジェイの部屋で見たことをシェーンにかいつまんで話した。
シェーン「そんなことが?
だがそれが本当ならば我々の潔白は証明される。
そうなるとあの化け物の素性もやはり…。」
シェーン「聞いてくれ!
私の身内の者が、この船の地下フロアで人体実験をしている証拠を見つけた!」
乗客たちはざわついた。
普段は寡黙なシェーンおじさんだが、こういうときの行動力は頼りになる。
シェーン「我々は潔白だ!
そして、その怪物はもしかしたらその実験の被害者である可能性がある!」
ロジー「人体実験だと!まさかそんなことが…
でもだとしたら、兄さんを元に戻すことだってできるんじゃ…」
ロジーは狂ったように叫んだ。
よろよろと、ホールの中央に出てくる。
気がつくとロジーの目の前にヒトガタの顔があった。
ロジー「…兄さん。」
次の瞬間、ヒトガタの怪物の振り回した太い腕が、ロジーの首をへし折った。
バキバキと鈍い音がして、ロジーの体は数メートルは吹き飛んでいく。
銃弾が次々と放たれ、そのうちの何発かがヒトガタの頭を貫いた。
怪物はゆっくりと倒れ、動かなくなった。