メインホールにはすでに団体の乗客が何組か集まっていた。カナンはなんとなくその周りをぐるっと歩いてみることにした。
カナン「色んな人がいるのね。」
家族連れ、若者のグループ、10名くらいの団体など、乗客はバリエーションに富んでいるようだ。強いて言えば老人はほとんどいなくて、若者〜中年くらいが多いように見える。
??「あの、お尋ねしてもよいでしょうか?」
中年の女性が話しかけてきた。
ナン「はい、何でしょう。」
女性「親戚の子とはぐれてしまって。
あそこにいる人達と同じような服装をした、19歳の男の子なんです。
あなたは向こうの通路から歩いて来たようですが、見かけませんでしたか?」
女性の視線の先にいる一団は、皆が緑がかった同じような色の服装をしていた。
女性はまちまちだが、男性は襟付きの似たような服を着ている。移民の部族が集団で参加しているのだろうか。
そのような服装の少年を見た憶えはなかった。
カナン「…いえ、見ていないと思います。」
女性「そうですか。
もうすぐ船に乗る時間なのに、どこに行ったのかしら。
人混みが苦手だから、人がいないところにいるんだろうけど。」
カナン「もし見かけたら声かけておきますね。」
女性「ああ、ありがとうねあなた。
よい船旅を。」
女性は礼を言うと、少年を探すためにホールから出ていった。