カナンはすぅっと息を吸い込んで、男の後頭部越しに大声を出した。
男はビクッとして振り返った。
カナン「あなたの相談はもう終わってるでしょ!お姉さんも困ってるじゃない、早くどいてもらえますか!?」
乗客の男「今はワシの順番だ!割って入ってくるな、小娘が!」
男はさらに興奮してテーブルをドンと強く叩いた。窓口の女性は怖くなって後ずさっている。
??「大きな声を出さないでください!どのような事情があっても、他の乗客の迷惑になるのであればあなたを拘束する権限がある。」
太い声が響いて、男を制した。振り返ると、乗組員の制服を着た大柄な男が立っている。
ゴートン「船長のゴートンだ。この件は報告を受けています。船内の情報を確認しているので、少しそこの待合席でお待ちください。」
船長と名乗る男は、威圧するように男にぐっと近づいて諭した。
乗客の男「…わかった。しっかり対応してくれよ。」
すごすごと壁際に歩いて待合用のベンチ腰掛けたが、納得はいかないようで大きな貧乏ゆすりをしている。