細い階段を降りて扉を開けると、意外にも広い空間に出た。

明らかに客室用の通路で、むしろカナンたちの部屋がある階層よりも豪華で小綺麗だった。

すると、奥にある扉が開いて細身の男が出てきた。

ムート「ワシリ!」

ワシリ「驚いた、ムートじゃないか。」

ムートは駆け寄ってワシリの方をバンバンと叩いた。

ムート「相変わらず顔色は悪いが、ピンピンしてるじゃねえか。
心配して損したぜ!」

ワシリ「ああ、お前もな。
このフロアには一般の乗客は来ないと聞かされていたから、目を疑ったよ。
カナンさんもご無事でよかった。
爆発の後、上では混乱した状態が続いていると聞いていたので。」

カナン「ええ、上には行かないほうがいいわ。
逆に言えばこのフロアは安全ってことなの?」

ワシリ「そうですね、今のところは。
立ち話も何ですから、よかったら私の部屋に来ませんか?」

ムート「そうだな、世話になるぜ。」