男に連れられて少し歩き、森が深くなってきたところの大きな木の下で止まった。

カナン「あの組織のことを知っているのね。
あなたは何者なの?」

ユヌン「俺はコリーネの者だ。
国際的犯罪組織、アンモビウムに攫われたんだ。名はユヌンという。」

カナン「攫われたってことは、あの船から先に降りた人ってこと?」

ユヌン「いや、俺がこの島に来たのは半年ほど前だ。
お前たちには攫われた自覚があるのだな。少し話を聞きたい。」

ユヌンと名乗る男は、半年前に乗っていた船が事故で漂流してこの島に流れ着いたという。

そして、島から出てきた武装した組織が船の乗客を連れていったということだった。ユヌンだけは、漂着後すぐに森に入っていたので、隠れてやり過ごす事ができたらしい。

カナン「それって、私たちと同じってこと?」

カナンもこの船旅で起きたことを、かいつまんで話した。

ユヌン「やはりそうか。
俺は身を隠して組織と乗客との話を少し聞いたが、船が漂着したのは事故ではなく仕組まれていたことがわかった。
つまり、奴らは同じ方法で集団誘拐を繰り返しているんだ。」

ユヌン「この半年間、組織の者は誰も島にはいなかったが、昨日から2回に分けて数名が上陸している。

俺はそれに気がついて身を隠していたらあの船が来た。もしやと思い、助けを求めるか迷っていたら君たちが出て来たんだ。」

その時、シラートがすっと口に人差し指を当てて会話を制した。

茂みから物音がしたらしい。3人は木の反対側に回って息を潜めた。

ガサガサと音がして、一人の男が歩いて来た。迷彩柄のパンツにはナイフがぶら下げてある。乗客でないことは間違いなかった。

ユヌン「捕まえよう。君も協力してくれ。」

ユヌンはシラートにそう呟くと、背中の猟銃を構えて木の影から飛び出した。

ユヌン「動くな!」

男「!
…なんだ、お前は?」

シラート「て、抵抗するな!3人いるぞ!」

シラートとカナンも、木の逆側から姿を現した。

男は一瞬戸惑った後に、両手を上げて抵抗しない意を示した。

ユヌン「そのまま地面に腹を付けて伏せろ。
何か縛るものはないか?」

カナン「私の上着で縛るわ」

シラート「い、いや、それなら僕のシャツで。」

シラートは制服の下のシャツを脱ぎ、男の腕を縛った。

カナン「その銃、本物なの?」

ユヌン「ああ、本物だ、散弾だよ。
今はたまを入れてなかったがな。」

カナン「えっ、そうだったの!」