捕らえた男は組織の構成員だった。

大声を出せないように布で口を覆い、喋らせるときだけずらして話を聞くことにした。

シラート「はぁ、はぁ…」

疲れたのか、シラートはぜいぜいと肩で息をしながら中腰になっている。

カナン「苦しそうね、大丈夫?」

シラート「すいません、喘息持ちでして。
そんなに重くない方なので、すぐに収まります。」

ユヌンは構わずに尋問を始めた。

ユヌン「俺は軍役中に拷問の経験がある。
大人しく話せば殺しはしない。」

男「わ、わかった。殺さないでくれ。」

ユヌン「お前たちは誰だ?漂着している船が関係していることはわかっている。
どこに何人いるか、船と潜伏場所があるかも話せ。」

男「俺はある組織の末端だ。その船の人間をまとめて隣国につれていくためにこの島に集められた。
何台かの船で移送するが、自分の担当する船以外はどこに行くかはわからない。
人数は…今は8人だ。船は西側の海岸に。」

カナン「まだこれから増えるってこと?8人じゃ少ないものね。」

男「…そうだ。
明日には20名ほどの一団が島に来て、数回に分けて乗客を連れて行く予定と聞いてる。
お前たち、こんな事しても無駄だろう?開放してくれよ…。」

ユヌンはマントの中からナイフを取り出し、無言で男の顔に近づけた。

男「やめろ、ちゃんと話してるだろ!」

男の話では、この島に来る構成員は組織の中でも異なる幾つかのグループから、それぞれ人員を出し合っているらしい。

何かのトラブルで到着が送れているため、今島にいる者で船を牽制して逃げられないようにする。そのために分かれて行動している構成員を呼びに行くところだったそうだ。

さらに、潜伏先はこの島にある施設とのことだった。無線などの機材も、運び込んでいるらしい。

カナン「追加の構成員が来る前になんとかした方がいいのかな?」

ユヌン「そうだろう。
潜伏先の施設は俺も知っている。戦争時代に使われていた、生活するための施設だ。
そこにある無線機を使うことができれば、本国に連絡できる。」

シラート「船にいる人達に助けを求めるのはどうでしょう。人数は多いほうが…。」

カナン「でも、もう残りの4人くらいは船を見張りに行ってるんでしょ?
船にたどり着く前に捕まっちゃうわ。」

ユヌン「じゃあ、船には誰もいない可能性がある。
俺は施設を襲撃するから、お前たちは船で逃げろ。船員なら運転ができるだろう。
帰ってこの犯罪を世間に公表し、連れ攫われた者たちの救助を申請するんだ。」

シラート「ええ、小型の船なら動かすことができますが…。」

カナン「(どうしよう、何が一番いい選択なの…。)」