ユヌンに案内されて、施設の入口にやってきた。

カナン「ここって洞窟じゃないんですか?」

ユヌン「入口はそう見えるだけで、中は建物になっている。
攻撃された時に避難するためのカモフラージュなんだろう。」

息を潜めて中に入ると、確かに石造りの空間になっていた。

ユヌンが先導してゆっくりと奥に進む。今度は弾を装填した猟銃を持っている。

奥まで進むと部屋の入口があり、そこから話し声が聞こえてきた。

??「天候で遅れるなんて…
明日には着くんですよね?」

??「はい、明日の午前中には到着するとのことです。」

声からすると男2人のようだ。
1人はワシリの声だった。先に島に降りて、こっちの仲間と合流していたのだ。

ユヌンは2人に目で合図をすると、銃を構えて部屋に入っていった。

ユヌン「動くな!」

そこにいたのはワシリと、船員の服を着た小柄な男性だった。

ワシリ「やあ、抜け出して来たのかい。
僕の部屋にいた方が居心地がよかっただろうに。」

シラート「え、ヨハレンさん?
そんな、何故こんなところに…。」

ヨハレン「貴様ら、こんなところまで来るとは…。」

ワシリは状況を理解したのか、不敵に笑っている。

ワシリ「ヨハレンさん、わかっていますね?」

ヨハレンは胸ポケットから小さい容器を出し、中にある注射器を手に持って自分の腕に打ち込んだ。

ヨハレン「…くっ」

ユヌン「動くなと言っているんだ!
脅しじゃないぞ!」

しかしヨハレンは制止を聞かず、苦しそうに膝をつくとそのままバタリと倒れた。

ワシリ「すいません、彼は小心者なんです。
失敗して捕虜になるくらいなら死ぬと言って聞かないんで、自殺用の薬を渡してあったんですよ。」

シラート「し、死んだんですか…?」

シラートは突然の同僚の死にうろたえ、苦しそうにゼイゼイと肩で息をしはじめた。

カナン「そんな…。
ワシリさん、抵抗しないで。無線機の場所を教えてください。」

ワシリ「もちろんです。
でも少し話をさせてください。焦らなくても、私たちの仲間は船を見に行っていてここには来ませんよ。」

ユヌン「会話をするつもりはない、地面に腹を付けて伏せろ。」

その時、倒れていたヨハレンが突然苦しみだした。

ユヌン「!?」

そのままむくっと立ち上がり、苦しそうに体を掻きむしる。

体中の筋肉が隆起して、前進がピクピクと痙攣している。明らかに異常な状態だ。

ぎょろりとこちらを見ると、ゆっくりと近づいてきた。

ユヌン「くっ!」

ヨハレン「い゙ぎゃあぁぁっ!!」

ユヌンは堪えきれなくなり散弾銃を打った!

一瞬で無数の弾痕ができ、ヨハレンの体はずんっと後ろに吹き飛んだ。