最も人の目が入らない区画を点検しに行くことにした。

船尾側区画に向かう通路は昼間でも照明が少なく、空気がこもっている。ゴートンは懐中電灯で行き先を照らしながら、ゆっくりと慎重に奥に進んでいった。

機材を置く収納がある空間を奥に向かって進んでいたその時、

ガチャリと後ろで音がした。振り返ると、さっき通って来たドアが閉じるところだった。

カナン「今、ドアがまた開いたの?」

ひとつ前の部屋に戻ってみたが誰もいない。気にはなったが奥に進む事にした。

動力室はゴウゴウとエンジンの音が響いていた。

かなりの広さがあり、ダクトや大きな機械があるため死角が多い。ゴートンの言う通り、何か隠すという視点で見るとうってつけの場所かもしれない。

2人は手理由して機械の隙間などを見て回った。

ふと、エンジンの音とは異質な音が聞こえた気がして、カナンは立ち止まった。足元、機械のしたの隙間から聞こえる。

カナンは身をかがめて覗き込んだ。

カナン「!!」

タイマー付きの爆弾のようなものが、カチカチと音を鳴らしている!
しかもタイマーの数字は30‥29‥28‥。

カナン「せ、船長さん!船長さん!!」

パニックになりながら叫ぶと、駆け寄ってきたゴートンも声にならない声を上げた。

ゴートン「!?これは爆弾!本物か!?」

ゴートン「カナンくん!すぐに逃げるんだ!」

カナン「で、でも、ここで爆発したら!」

ゴートン「電気伝達と思われる線をギリギリで切ってみる!
だがクソ、刃物がない!成功するとは思えないから、君は離れるんだ!」