なるべく人が集まっていそうなところと考え、カナンはカフェにやってきた。

キョロキョロとあたしを見回していると、小柄な船員が話しかけてきた。

ヨハレン「こんにちは、カナン ハレリアさんですね。
私は船員のヨハレンです。先ほどゴートン船長と話をされていましたね。」

カナン「え、あ〜…はい。そうですが、それがどうかされましたか?」

船長には部屋に戻ると嘘を付いてしまったので、気まずくてしどろもどろになってしまった。

ヨハレン「捜索を手伝っているんですよね。
これからどこへ行かれるんですか?」

カナン「??
いえ、手伝うわけではないのですが、部屋に戻る前に少し散歩をと思って。
あはは、すぐに帰りますよ。」

ヨハレン「…そうでしたか。」

穏やかそうな男性は、少し困ったように下を向いた。

ヨハレン「実は、船長からあなたに言伝を預かってきたのです。
機密性の高い内容なので、場所を変えてお伝えします。私に着いてきていただけますか。」

ヨハレンに着いていくと、1階層の中でも乗客は立ち入らない通路を進んでいった。

部屋に戻ると言ったのに私に伝言とは、いったいどんなことなのだろうか。この男がは私が捜索を手伝っていると言ったが、何か話が食い違っているような気がする。

モヤモヤと気になることが頭を巡るが、わかることは何もない。

カナン「あの、ヨハレンさん。どこまで行くのでしょうか。
操舵室や乗組員さんたちの部屋ではないのですか?」

ヨハレン「ええ、乗組員たちにも聞かせられないな内容なので。
もう少しです。」

カナン「…。」

このままついて行ってよいのだろうか。まさか、この男が誘拐犯ということは…。