3階層のデッキには人が少しいたが、2人は座り込んで話しはじめた。
だいたいディノゾーラの話か、トーテルの学校と親への愚痴だった。
トーテル「あいつらは精神年齢が低すぎて相手してられないよ。
僕が裕福だからって妬んでくるか、おもちゃをもらおうとすり寄ってくるバカばっかりだ。」
レンはほとんど喋らない分、トーテル話を聞いているだけでいいので楽だった。
風が気持よければそれでいい。
トーテル「ところで、レンは変わった人種とかなのか?
母さんは心が狭いクソババアだけど、あんなに一方的に追い返すことないよな。」
レンは一部の国民からは自分たちが嫌われていることを少し話した。
もともとは戦争中に捕虜として連れてこられた敵国の人間だったのだが、祖国が賠償金の要求を拒否したためにこの国に取り残されたらしい。
法律的にも帰化していないため差別的な目で見る者も多く、一部の地域や宗教では非人道的な扱いが正当化されている。
レン「…コリーネ族とか、部落の人とか言われてる。
僕はコリーネとこの国の国民のハーフなんだ。」
トーテル「へえ、カッコいいじゃん。
ま、興味ないけど。」
2人はまたしばらくディノゾーラの話をした。気がつくと夜中になっていた。
レン「…?」
何か、悲鳴のような声が聞こえた気がした。トーテルも反応している。
トーテル「おい、見に行こうぜ。あっちの通路の方だ」